ソフトウェアの導入に活用できる、IT導入補助金についてのまとめ


IT導入補助金のセミナーに参加してきたのまとめます。使いやすい補助金の一つだと思いますので積極的に活用しましょう。

IT導入補助金

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IT導入補助金とは

IT導入補助金はITツール(ソフトウェア・サービス)の導入により事業の生産性の向上を目的とした補助金です。
今まで実施されてきた補助金は製造業向けの機械設備の導入などハードに対するものが多かったのですが、今回のIT導入補助金はソフトウェアに対する補助金です。

どんなものに使えるの?

サービス、ソフトウエア導入費に含まれる経費には下記のものが定義されています。
ただし下記に当てはまる経費であれば自由に導入していいというわけではありません。下記の要件を満たした上で、IT導入補助金で事前に認められたITツールとよばれるソフトウェア・サービスしか補助対象になりません。ちなみに現状でITツールとして登録されていなくても、ITツールの登録申請を行うことは可能です。

  1. パッケージソフトの本体費用
  2.  クラウドサービスの導入・初期費用
  3.  クラウドサービスにおける契約書記載の運用開始日(導入日)から 1 年分までの サービス利用料・ライセンス/アカウント料(※2)
  4.  パッケージソフトのインストールに関する費用 5ミドルウエアのインストールに関する費用
  5.  動作確認に関する費用
  6.  IT ツール(ソフトウエア、サービス等)の導入に伴う教育、操作指導に関する費用、事業計画の検討に係わるコンサルテーション費用(ただし関連会社、取引会社への説明会等費用は補助対象外)
  7. 契約書記載の運用開始日(導入日)から 1 年分までの問い合わせ・サポート対応に関する費用、保守費用
  8. 社外・社内・取引先向けホームページ制作サービス初期費用
  9.  契約書記載の運用開始日(導入日)から 1 年間の WEB サーバー利用料(ただし、既存ホームページの日常的な更新・改修費用は、補助対象外)

(※1)全ての経費において、1 年間の費用の開始日は、契約書記載の運用開始日(導入日)を起点とします。導入 日、サービス開始日共に事業実施期間内に開始している必要があります。
(※2)1 年未満で契約を解除した場合、交付を受けた補助金全額が返還の対象となるため、ご注意ください。

 

「平成28年度補正 サービス等生産性向上 IT 導入支援事業」7ページより

こうみるとソフトウェアにかかる様々な費用が認められていることがわかります。保守・運用の経費も1年分補助対象になるのはとてもありがたいですね。

登録済みのITツールは以下のページから検索できます。

IT導入支援事業者・コンソーシアム検索画面

対象製品についても制限があって、若干複雑なので、IT導入支援事業者に相談しましょう。
わかりやすい例でいうとクラウド会計ソフトfreeeやMFクラウドなどはITツールの一部に含まれています。

どのくらいもらえるの?

補助上限は100万円、補助率は2/3です。
つまり最大150万円に対して100万まで補助してもらえます。

ちなみに下限も決まっており補助下限は20万円になります。
つまり30万円以下の経費支出では採択されないということになります。

どれくらい採択されるの?

説明会では、一次公募で約6,700社が採択され採択率は9割くらいと聞きましたので、これが本当であれば補助金の中ではかなり採択率が高い方だと思います。

申請はいつまでにすればいいの?

現在二次公募が実施されており、二次公募の応募締切は以下のとおりです。
平成 29 年 6 月 30 日(金)17 時まで

 

ただし、IT導入補助金はIT支援事業者(IT導入補助金の事務局に登録された民間事業者)に代理で申請してもらう必要があります。ぎりぎりに相談しても間に合いませんので早めに相談しましょう。

今回のセミナーを行っていたIT導入支援事業者さんのお話では遅くとも6/15までに申請様式が必要とのことでした。ただし申請者が多い場合は6/15でも間に合わないかもしれないそうです。

IT導入支援事業者こちらのアドレスから検索できます。

IT導入支援事業者・コンソーシアム検索画面

申請の流れ

申請の流れはおおまかにまとめると以下のような流れです。

1.IT支援事業者に相談

導入するソフトウェアなどをIT導入支援事業者に相談します。

2.申請書類、事業計画の作成

導入するソフトウェアなどを決定したら申請様式に記入します。
以下のIT導入補助金のページから申請様式をダウンロードできます。

補助事業者について

申請様式では事業計画についての内容を書く必要がありますが、事業計画の作成の際は専門家の支援を受けることができ、また後述しますが、専門家の支援を受けると加点され、採択に有利になる場合があります。
専門家はIT支援事業者自体が手配してくれる場合もありますが、そうでない場合は申請者自身で探す必要があります。お近くの商工会や商工会議所、よろず支援拠点に相談すれば専門家を紹介してくれます

3.IT導入支援事業者に代理申請依頼

申請はIT支援事業者に代理で行ってもらう必要があります。そのため期限ギリギリでは間に合わないかもしれないので、早めに様式を記入して提出しましょう。

代理で申請してもらえれば申請は完了です。申請後採択されれば、補助対象者となり申請したソフトウェアやサービスを導入できます。

ちなみにこれはどの補助金にも当てはまりますが交付決定前に使った経費は補助対象経費として認められませんので注意しましょう。

申請書類、事業計画作成のポイント

事業計画はどのように書けばいいの?と思われるかもしれませんが、審査される内容は公募要領に記載がありますので、チェックしましょう。

以下のページからダウンロードできる公募要領の11ページに記載があります。

補助事業者について

 

大まかに言うと、この補助金の目的はITツール(ソフトウェア・サービス)を導入することで事業者に生産性向上を図ることが目的です。

導入するITツールによって現在抱えている課題を解決できるのか、導入によってなぜ生産性が向上するのか、どのくらい向上するのかなどを明確にする必要があります。補助金の趣旨に沿っていない内容だと不採択になる可能性が高いので審査項目をよく確認して漏れがないように書きましょう。

また、「労働生産性の向上率 2%以上」の計画になっている必要があります。
労働生産性の向上率以外に「独自指標における向上率 2%以上」も必要です。例えば宿泊施設なら宿泊者数が何%向上するかなどです。

加点ポイントもチェック

審査項目以外に加点ポイントがあります。

1. おもてなし規格認証2017を受けているか

以下のおもてなし規格認証のページから申請できます。この認証はかなり簡単に取れるそうなので必ず認証を得ましょう。
おもてなし規格認証

2. 補助金額50万円以上の場合、専門家による事業計画作成支援を受けているか

専門家による支援を受けているかどうかが加点項目になります。専門家についてはIT支援導入事業者、商工会、商工会議所、よろづ支援拠点に相談しましょう。

3.補助金の額が80万円以上の場合「中小企業など経営強化法」に基づく経営力向上計画の認定を受けているか。

これも認定されるのは比較的簡単だそうです。申請が受理されたてから30日程度審査に時間がかかるそうなので、補助金の額が80万円を超える場合は早めに申請を行いましょう。
詳しくは以下のページでご確認いただけます。

経営サポート「経営強化法による支援」

補助金申請、申請後の義務・負担

どの補助金も申請負担、また補助金採択後に守らなければならないことがありますが、IT導入補助金の申請に関する負担は最大50万円が補助金として支給される小規模事業者持続化補助金よりは用意する内容が少なめで採択率も高くなおかつ金額も大きいので、小規模事業者持続化補助金よりはうまく活用すれば申請する負担に対して得られるメリットは高いです。
ただし、採択後5年間毎年3月に売上、原価、従業員数、就業時間、その他独自の数値目標に関わる情報をIT導入支援事業者に報告する義務があります。ここは5年間の関係書類の保管を義務付けた小規模事業者補助金よりも手間が多くなります。

まとめ

ざっくり書きましたが、比較的採択率も高いので活用しやすい補助金だと思います。またソフトウェアに関する補助金は今まであまりなかったのでそういう面でも他の補助金ではカバーできない経費に補助金を使うことができるのは良いですね。

この記事は公表されている資料に基づいて作成していますが、情報の正確性、完全性を保証しているわけではありませんので予めご了承ください。

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